◆1 統一地方選 有権者の選挙離れが深刻 投票率過去最低を更新

  • この一年 2023, 特集
  • 2023年12月11日
◆1 統一地方選 有権者の選挙離れが深刻 投票率過去最低を更新

  4年に1度の統一地方選が繰り広げられた今年、苫小牧市で有権者の反応は極めて鈍かった。前半戦の道知事選と道議会議員選挙、後半戦の市議会議員選挙はいずれも投票率が過去最低を更新した。年内の衆院解散・総選挙も見送られる中、有権者の政治離れは深刻さを増している。

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   全国9道府県で行われた知事選のうち、唯一の与野党対決となった本道。自民、公明、新党大地が推薦する無所属現職の鈴木直道氏と、野党陣営が擁立した無所属新人の池田真紀氏=立憲民主党推薦、国民民主党道連、共産党道委、社民党道連支持=による一騎打ちとなった。

   ただ、与野党対決は2019年と同様だが、選挙戦の様相は全く異なった。19年は「新人対決」で熱を帯びたのに対し、今年は鈴木氏が現職の強みを見せる中、野党候補の擁立作業が難航。池田氏の出馬表明は2月と出遅れ、政策を浸透させる時間は限られた。市内の知事選投票率は前回比8・09ポイント減の44・59%だった。

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   道議選苫小牧市区はさらに盛り上がりを欠いた。定数3を計4人で争う構図は同じだが、こちらも選挙戦は大きく様変わりした。19年は前回と同じ顔触れの現職3人、新人1人による戦いで、現職が手堅く当選したのに対し、23年は新人3人、現職1人と「世代交代」する中の選挙戦。直前まで無風が濃厚とみられただけに、有権者の関心も高まらなかった。

   もともと同区は、自民が新人の板谷良久氏、公明が新人の中村守氏がそれぞれ勇退する現職の地盤を受け継ぎ、立憲民主の現職沖田清志氏も4選を目指す盤石の体制。この3党が昨秋から活発に動いていたが、共産は候補の擁立作業が進まなかった経緯がある。22年の市長選に出馬した無所属新人の西村俊寛氏が、告示直前に立候補を表明して選挙戦になだれ込んだが、政策論争は深まることなく、公党から出馬した3人が当選。投票率は前回比8・04ポイント減の44・35%だった。

   その道議選から1週間後に告示された市議選は、定数28を現職24人、新人5人の計29人が争う構図。中心市街地の活性化など大きな課題もある中、定数1オーバーは過去最少の少数激戦。現職全員が手堅く当選する一方、新人1人が涙をのんだ。投票率は前回比4・76ポイント減の41・54%だった。

   有権者の6割弱が棄権する現状に、苫小牧市選挙管理委員会の小松靖孝委員長は「特に若い層の投票が少なかった」と分析。主権者意識の希薄化が懸念される中、市選管は市明るい選挙推進協議会(明推協)と連携し、啓発活動に引き続き力を入れる考えで、「選挙は民主主義の根幹」と訴え続ける。(選挙取材班)

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   2023年も残り半月余り。地域であった主な出来事を振り返る。

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