多文化共生について学ぶ札幌国際大学の人文学部国際教養学科の学生12人と同学科の遊佐順和教授(55)が9日、観光と食をテーマとするゼミ授業の一環で白老町を訪れた。民族共生象徴空間(ウポポイ、町若草町)を視察したり、地域食堂「グランマ」(町大町)の林啓介店主(42)の話に耳を傾けたりし、同町のまちづくりなどに理解を深めた。
同ゼミでは地域固有の資源を生かした観光振興を学んでいる。遊佐教授は20年ほど前から同町と交流があり、この日は1、2年生がアイヌ文化の探求とまちづくりの実践者に取材するフィールドワークで来町した。
ウポポイでは伝統芸能を鑑賞したほか、職員の手ほどきでオハウ(温かい汁物)やカボチャのラタシケプ(あえ物)の調理体験を行ったり、白老おもてなしガイドセンターの案内で敷地内を散策するなどした。
グランマではビュッフェスタイルの夕食に舌鼓を打ちながら、林さんの話を通じ、まちづくりに対する姿勢に理解を深めた。林店主はインターネットなどを活用し、まちについて事前に学ぶ大切さを説きながら「大事なことの多くは現場にある。現地に行き、お年寄りの知恵に触れるなど、人と語り合う中で学べることは多い」と語り掛けた。
3年の山本隼大さん(20)は「見て聞いて、作って食べてと五感で白老を体験できた」と笑顔を見せた。遊佐教授は学生たちへ「まちづくりに意識の高い人たちと関わりながら、自身の視点と感性でまちの魅力を掘り下げ、提言などをできる力を身に付けてほしい」と期待していた。
学生らは来年1月をめどに学習成果をまとめる予定で、遊佐教授は成果を発表する場を白老町で設けたい考え。