自民党最大派閥・安倍派の政治資金パーティー問題で、岸田文雄首相(党総裁)は裏金を受け取った疑いのある同派の高木毅国対委員長と西村康稔経済産業相を交代させる方向で検討に入った。松野博一官房長官と同様、事実上の更迭となる。同派に所属する政務三役全員の交代論も浮上。複数の政権関係者が明らかにした。
首相は11日午前、首相官邸に入る際、記者団の取材に応じる。
10日には同党の茂木敏充幹事長、森山裕総務会長、萩生田光一政調会長らと東京都内で個別に会談。人事について協議したとみられる。
安倍派では高木、松野、西村3氏に、萩生田氏と世耕弘成参院幹事長を加えた有力幹部「5人衆」全員に、パーティー収入の還流を受けた疑惑が判明。高木、松野、西村3氏はいずれも事務総長として派の実務を取り仕切った経験がある。
党内では政権立て直しのため、事務総長経験のない萩生田、世耕両氏も交代させ、5人衆を一掃すべきだとの声も出ている。 一方、党幹部の一人は「安倍派の政務三役を外さなければ政権が持たない」と指摘。松野、西村両氏と鈴木淳司総務相、宮下一郎農林水産相の閣僚4人、副大臣5人、政務官6人の計15人が同派に所属している。
東京地検特捜部は今国会の閉会を待って捜査を本格化させるとみられる。政権内には、会期中の官房長官や国対委員長の交代は混乱が大きいとして、閉会直後の人事を求める意見がある。
ただ、年末にかけては2024年度予算案の編成作業が大詰めを迎える。このため、松野氏の交代などを先行させ、今月下旬の同予算案の閣議決定後に、残る人事を行う案も取り沙汰されている。