36人の犠牲者を出した京都アニメーション第1スタジオ放火殺人事件の公判が7日、結審した。前日の被告人質問で、遺族に対し初めて謝罪した青葉真司被告(45)。この日の最終意見陳述では「付け加えて話すことはございません」とだけ述べ、謝罪の言葉はなかった。
9月5日の初公判以降、11月27日まで9回被告人質問が行われ、遺族も質問に加わったが、青葉被告は事件について「やり過ぎた」などと話すことはあっても、謝ることはなかった。今月6日になって「申し訳ございません」と述べた。
7日の公判では、紺色に白線が入った上下ジャージー姿で、車椅子に乗って入廷。午前10時半の開廷に先立ち、全員が起立して一礼すると、座ったまま大きな目を見開いて頭を下げた。
論告に入ると、うつむくような姿勢で聞き、やけどで赤い首の後ろをかく場面も見られた。検察官が「地獄さながらの恐怖は筆舌に尽くしがたく、亡くなった方の無念は察するに余りある」「筋違いな恨みが犯行の本質。動機は身勝手極まりない」と厳しい言葉で非難を続けたが、表情は変えなかった。「極刑を選択する他ない」と死刑を求刑された瞬間は身じろぎせず、まばたきを繰り返した。
論告の後、亡くなった寺脇(池田)晶子さん=当時(44)=の夫も意見陳述に加わった。夫は「最も重い刑罰が科されることを望む」と涙をこらえながら訴えた。弁護人が無罪を主張する弁論を始めると、遺族の中には険しい顔で眉間にしわを寄せる人もいた。
最後に裁判長が「何か言いたいことがあれば」と促すと、青葉被告は「(これまでの公判で)自分でできる範囲でちゃんとやってきたので、この場において付け加えて話すことはございません。それだけです」と弱々しい口調で答えた。判決期日の説明を受けると、大きく頭を上下させ何度もうなずいた。