大動脈弁狭窄(きょうさく)症患者に多く見られる消化管出血には、出血しやすい異常な血管の形成が関与し、心臓病の治療でこの血管異形成が改善することが分かったと、京都府立医科大大学院などの研究グループが発表した。
心臓の弁が硬くなり、全身に十分な血液を送り出せなくなる大動脈弁狭窄症。合併症として消化管出血が生じるが、詳細は明らかでない。研究グループは、貧血がある重症の大動脈弁狭窄症患者50人に対し、心臓カテーテル治療の前後に血液検査と内視鏡検査を行い、出血や経過などを観察した。
その結果、治療前には消化管の血管異形成が47人、出血が5人に認められた。治療を受けた30人の状態を解析すると、血管異形成の数が平均9個から4個に減少し、大きさは平均2・5ミリから1・4ミリに縮小、貧血も改善していた。研究グループは「心臓と消化管の密接な関連を示す知見だ」としている。
(メディカルトリビューン=時事)