アイスホッケーのアジアリーグで、ここまで首位争いを演じているレッドイーグルス北海道。荻野順二監督の指揮の下で、選手やチームを支えるコーチ、スタッフの横顔をのぞく。全11回。
―クラブ化から3年目、チームの状況について。
「試合に関しては、実力が十分維持されていると思う。不安はないし、選手の環境自体は、基本的には変えてはいない。会社としては、王子ホールディングス100%の子会社であるが、クラブ化を標ぼうしている以上、それにふさわしいような活動を考えている。特に試合運営に関しては、ファン目線で喜んでもらえるように―という部分は以前より強く意識している」
―伝統あるチームを社長として率いることへの思い。
「そこは考え過ぎず、クラブ化したということをより強く意識し、チームを知ってもらう努力をまずはしていく。昔は試合がテレビ放映されることも多く、地域でも知られていたが、以前より関心が薄れていると感じる。この街にアイスホッケーチームがあって、こういう活動をしていって、面白いと思ってくれる人が多いスポーツだと思ってるので、それをできるだけたくさんの人に伝えたい」
―ひがし北海道クレインズ問題を含むアイスホッケーチームの財政と存続について。
「アイスホッケー自体が昔に比べ地盤沈下していることも背景にあるし、地域の経済力の低下もあるのだろうと推測する。何かうまい仕掛けがないと運営は大変だろうと思う。例えば釧路はアイスホッケーが非常に盛んな地域であることは間違いないので、チーム事情や環境が好転したらいいと思っている」
―競技がメジャー化していくために。
「大都市圏での人気が必要。強い経済と人口の多い街で人気が出ないと難しい。現在、横浜に本拠地を置くチームがあるが、もう一つくらい首都圏のチームが出てくれば、見て面白いと思う人は絶対増えるはず。(ホームゲームの)札幌開催もその仕掛けの一つ。去年から始めて、今年は4試合を行ったが、まだまだ浸透が必要。子供たちのアイスホッケーにもずいぶん関わるようになってきたので、そうしたものが花開いていけばと期待している。そこから将来の選手が出てくるだろうし、アイスホッケーの未来は彼らが核になって面白さを伝えていってもらえれば良いかなと思っている」
―チームの方向性について。
「やっぱり見てもらうことで魅力が伝わり、チケットが売り切れるような存在にしたい。この街だからこそのアイスホッケーというものを膨らませていきたい」
▽プロフィル
1959年5月19日生まれ、東京都出身。小学校の頃、テレビ観戦でアイスホッケーファンに。当時は岩倉組のファンだった。学生時代は野球で汗を流し、1982年に王子製紙入社。2009年から苫小牧工場事務部長、王子イーグルス部長を2年間務め、チームがクラブ化した21年4月、レッドイーグルス北海道の社長に就任。スポーツ全般が好きで、特にアイスホッケーとラグビーが好き。