寒い

  • ニュース, 夕刊時評
  • 2023年12月2日
寒い

  きのう朝のテレビ。アナウンサーが東京の季節を「読書の秋」と表現した。訂正は聞こえなかったから、日中の気温が10度を上回る関東は、まだ秋なのか。「徐々に」という変化には何とか対応できるものの、初めてや記録にないという形容詞の付いた変化には、まず精神的に負けてしまう。この冬の寒さがそうだ。

   11月の下旬なのに、テレビの気象解説者が「真冬並みの寒気が南下し―」と、軽い口調で真冬日の到来を予想してみせた。気候変動による大規模山林火災や大洪水に注意を呼び掛ける表現が「地球温暖化」から「地球沸騰」に変わった。けさは頬が冷たくて目が覚めた。寒さ自体には「子どもの頃、氷点下30度近くの体験がある」と胸を張ってきたが、前日の気温が10度以上なのに突然の真冬日や吹雪には、とても対応する自信がない。低温も雪景色も、ぜひ順序を踏んで、徐々に訪れてほしいと祈るばかりの12月。

   わが家では毎年、テレビの天気予報欄にぎっしりと雪だるま君の並んだ日、画面をスマートフォンで撮影して首都圏の孫に送る。今年も先日、送った。「今年も始まりましたねェ」という嫁からの返信と、39度超えのインフルエンザの熱に負けたサッカー少年2人の、ぐったりした写真が届いた。警報は遅かった。(水)

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