贈り物

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  • 2023年11月30日
贈り物

  先週末から札幌はぐんと気温が下がり、一気に冬景色となった。大通公園の風物詩「ミュンヘン・クリスマス市」を友人と歩いた。隣接する「ホワイトイルミネーション」と連動し、すごい人出だった。気が付けば11月もきょうで終わり。あすから師走に入る。またジョン・レノンの命日、12月8日が近づいた。

   そんな季節。ビートルズの「最後の新曲」を聴いた。ジョンが1970年代末に書きながらも、レコーディングされずにいた「ナウ・アンド・ゼン」。古いデモテープの曲を、人工知能(AI)技術で雑音を取り除きジョンの歌声のみ抽出。95年に一度、録音した際の故ジョージ・ハリスンのギターソロも入れ、ポール・マッカートニーとリンゴ・スターが手を加えて楽曲として完成させた。11月に世界各地で発売され、全英シングルチャート1位を獲得したと報道されている。

   新曲は、こんな詞だ。〈ときどき ぼくはきみが恋しくなる ああときどき ぼくはきみがそこにいてほしいと思う〉。ビートルズ解散後のジョンが、3人の仲間に呼び掛けているようにも聞こえた。

   解散から半世紀以上の歳月が流れた。20世紀を代表するロックバンドから届いた、一足早いクリスマスプレゼント。大切に聴き続けたい。そう思う。 (広)

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