高齢者の思い

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  • 2023年11月28日
高齢者の思い

  苫小牧市内で11月恒例の行事がある。長生大学が主催する高齢者主張発表会だ。5年ぶりに、人生の大先輩がかくしゃくと語る会を聞く機会に恵まれた。

   毎年のことながら、主張の題材は多彩だ。「ウオーキング」や「草花図鑑」「環境問題」から「高齢者問題」まで幅広く、苦労してきた自らの歩みを振り返りながらも前向きな姿勢の主張にこちらも勇気をもらう。時にはユーモアを交えながら、聞く方が楽しくなるような内容も多い。

   その中で「障害者」に焦点を当てた主張に心を動かされた。障害を持って生まれたお子さんについて、育てて行く中でさまざまに起こる壁への向き合いや地域との関わり、施設に入る経緯を赤裸々に語られた。主張した時間は短くても、お子さんへの思いがぎっしりと詰まった内容で、「子どもの事で家に縛られていても、心の底には幸せを感じていた」との言葉には胸を打たれた。

   高齢者の主張は随所に参考になる考え方や提案も出てくる。高齢者という言葉だけでは、どうしてもマイナスのイメージが強いが、人生経験という宝は何事にも代え難い。その宝を地域で生かしていく方法はないのか。発表会の帰る道すがら、そんなことを強く感じた。(昭)

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