寛容

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  • 2023年11月27日
寛容

  脳の働きをつかさどる神経細胞ニューロンの回路がぷちぷちと途切れてしまったように感じるときがある。「忘却力」の大切さを唱える人もいるが、なかなか思い起こすことができないとなれば胸にもやもや感が居座り、すっきりしない歯がゆい日々となる。

   連れ合いとの会話の中でも「あれ、大丈夫?」「あの人だよ」などと抽象的な言い回しが多くなった気がする。「あの人」については互いに、その人の顔を思い浮かべるが、肝心の名前が出てこない。数日たって急に思い出すこともあれば、もやもや感に耐えられず、パソコンやスマホで調べ、名前が分かることがある。その時のすっきりした気分と、互いの忘却力にあきれつつ、大笑いとなる。

   どこかほんのりしていられるのは互いに寛容さがあってのもの。心を広くして相手の言動を受け入れてこそ、家庭内平和に結び付くのだと思う。

   ロシアとウクライナ、イスラエルとイスラム過激派組織ハマスの戦いは、子どもを含む多くの犠牲者を出し、今も終わりが見えてこない。単なる2国間の紛争だけでなく、その戦いを遠巻きに見ながらさまざまな思惑もうごめく。同じ地球人としてもっと寛容の気持ちがあれば、世界平和が訪れると思うのだが。(教)

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