胆振東部地震から5年が経過したことに合わせた「むかわ町復興応援フェスタ」が26日、道の駅「四季の館」で開かれた。香山リカのペンネームで知られる町国民健康保険穂別診療所の中塚尚子副所長や自衛隊による震災復興講演会をはじめ、日用品を使った体験などを通して、来場者が楽しみながら復興や防災について学んだ。
町と協定を結ぶ地元のNPO法人マージュや札幌大学、町女性連絡協議会でつくる同フェスタ実行委員会が主催、町と鵡川高校などが後援・協力した。
香山さんは、穂別地区での暮らしや通院する地域住民とのやりとりを通じて、「私の方が地域の人に教えられたり、助けてもらってる」とした上で、都会にはない買い物の不便さや寒い冬に向けた備えなど「この地域で暮らしているだけで知恵を絞って生きている」と説明。また「震災から復興させようと、必死に頑張ってきた。トラウマや心の傷はない方がいいけれど、トラウマがあった後に成長につながっていることも分かってきた」と話した。
これらを踏まえ、町民に向けて「むかわ町に住んでいることに誇りを持ってほしい。そして自信を持っていろんなことを自分で決断してほしい」とエール。また「誰かのためにちょっと力を使ってあげたり、優しい気持ちを向けてくれたら。小さな一言で誰かの命を救うこともある」と語った。
町女性連絡協議会による防災風呂敷講座では、日本風呂敷文化協会の横山芳江さんが真結びや一つ結びを参加者に体験してもらいながら指導。災害時に給水タンクとして活用できることや「段ボール、新聞紙を使って靴底さえできれば、ルームシューズにも使えるし、履いて屋外に逃げることもできる」とアドバイスした。
このほか会場では、地域防災アプリや吸水式土のう袋などを紹介するコーナー、札幌大学の学生による折り畳み式ヘルメットの展示や体験が行われた。屋外では自衛隊による足湯や制服の試着、災害時使用の特殊車両などの展示もあった。
鵡川高校2年の佐藤悠晴さん(16)は「自分が思っているより災害は恐ろしいし、急に起きる。どれだけ準備できるか、改めて深く考えることができた」と話していた。