服を買いに出掛けると、売り場にはいつも色柄、デザインの多様な品がサイズ違いで並んでいる。量が多いので、つい売れ残りの行方が気になってしまう。
国内の衣料廃棄物は年間約50万トンで、90%以上が焼却、埋め立て処理をされている。こんなに多いのは、30年ほど前から、質はいまいちながら流行を取り入れ、しかも安い衣料が大量に出回っているため。流行の服を気軽に着ることができるのはありがたいが、メーカーの供給量が必要量を上回り、廃棄物となる売れ残りと短期間の着捨てを生んでいる。
記者の体形は小さいので、体に合い、色柄が好みの大人用の服を見つけるには、とても時間がかかる。それだけに気に入った一着を入手すると、できるだけ長く着られるよう丁寧に扱うのだが、この数十年は長く着られるような品が見つかりにくくなり、難儀している。
そんな事情もあり、衣料品における大量の生産・消費・廃棄が最近、SDGs(持続可能な開発目標)によって見直されてきたことに、広義でも個人的にも歓迎している。同じ物を着続けていると、自分の体形や色柄の好みの変化に気付けるなどの利点もある。長く着られる物を、メーカーは売り、消費者は選ぶ。この流れが途絶えないことを望む。(林)