安平町内の産業廃棄物処理業者「DINS北海道」が産業廃棄物最終処分場の建設計画を早来北進で進めていることで、町民有志でつくる「あびらの自然を守る会」(山下美樹代表)は23日、専門家を講師に迎えて建設予定地の見学会と意見交換会を開いた。町内外から約50人が参加し、現地を視察し、災害発生時における安全性などを考えた。
最終処分場の建設予定地は、JR早来駅から東に約2・6キロ離れた同社所有地。道の許可は2017年に下りているが、町や町民は「反対」の意向を示し、平行線の状態が続いている。その後、18年9月に胆振東部地震が発生し、建設予定地が道の「土砂災害警戒区域」に指定されたが、この点について事業者から町民が納得できる説明はない。
建設予定地の見学会などは、上智大学地球環境学研究科の教授で町環境保全アドバイザーの織朱實さんを招いて進めた。
意見交換で織教授は、現場の状況について「道から許可を受けた時は崖の壁でバケツ状になっていたが、崖は(5年前の)胆振東部地震で崩れている。この地は頑丈ではなく、どこにおいても危険」と推察した。
参加者は、建設地が早来市街地より高い場所にあることに言及。「なぜこのような場所に建てる必要があるのか」と疑問を投げ掛け、「一度許可が下り、その効力が何年たっても生きているが、住民が納得していない事例が全国各地で起きている。地震で状況が変わっていることもあり、本来こうした議論がされるべき」と指摘した。
織教授は「処分場は建って終わりではない。一般的に拡張工事を繰り返して30~40年と続く。建設後もしっかりと安全性をチェックしていく体制が敷かれるように、双方の関係性の構築が必要だ」と説いた。
山下代表は「住民の声が一番重要。誰に状況を聞かれても詳しく説明できるよう、会としてさらに勉強を重ねていきたい」と話していた。