風が冷たい季節になりました。地域の子どもの遊び場「いぶり勧学館」では、夏場は毎日のように子どもたちが来て、多い日は10人以上が外でボール遊びや鬼ごっこをしてはしゃぎ回っていました。今は5人ほど、ほとんどの時間を屋内で卓球やスマホのゲームをして過ごしています。
何ぶん古い建物なので、暖房をつけていても「寒い~」と訴えてきますが、そういう時は「暖かい格好をしておいで」と言っています。
今から10年ほど前。札幌市でホームレスのための炊き出しのお手伝いに初めて参加しました。その時は100人ほど来ていて、私は日用品の入った大きな衣装ケースから必要な物を渡す係になりました。しばらくすると男性が来て「せっけんはありませんか」と聞かれました。驚いたことに当時の私と同じ20代半ばくらいの方で、その時はまだ暖かい季節だったのに手は小さくぶるぶると震えていました。
支援物資は前もって確認していたので、ケースの中にせっけんが無いことは分かっていましたが、「無い」とはどうしても言えなくて、しばらく私とその男性の2人で探していました。ふと見上げるとすぐ近くにコンビニがありました。買ってお渡しすることも考えましたが、手伝いの立場で勝手なことはできませんでした。何もできなかったこと、同じ世界で生きている同世代なのに境遇が大きく違うことに、強いショックを受けた出来事でした。毎年寒くなると、今どうしているかなと思いをはせます。
(いぶり勧学館館長・苫小牧)