元南極越冬隊の柴田和宏さん(48)を招いた厚真町教育委員会生涯学習講演会と南極体感ワークショップが19日、町総合ケアセンターゆくりで開かれた。地域住民ら延べ約50人が、貴重な体験談に耳を傾けた。
柴田さんは2015年12月~16年3月、第57次日本南極地域観測隊に同行。20年11月~22年3月にも第62次観測隊の越冬隊員として活動し、現在は自身の経験を伝える講演活動を各地で展開している。
柴田さんは南極大陸の面積が日本の約40倍あることや、実際に入手してきた氷山の氷を来場者に触ってもらい、雪の結晶が凍ってできていることを解説。月の模様が日本で見る時と逆さまになることや、太陽の沈まない時期があることなども伝えた。ペンギンの子どもたちが親を追い掛ける光景については「一見ほほ笑ましいが、厳しい環境で生きていくためにやっていること」と説明した。
また、少しでも天候が荒れた時はロープを結んで行動することや「紫外線が強く、全身を覆わなければやけどをした状態になってしまうこともある」と現地業務の過酷さを紹介。一方で、休日は基地の仲間たちとイベントを企画し、楽しく過ごした思い出も語った。
このほか、観測隊で使用した服の着用やブリザードの風の強さを来場者が体験する時間も設けた。
町職員の金光俊太郎さん(32)は「体験者ならではの話を聞けた。(現地の)住宅を画像で見たり、いろいろな道具を実際に見せてもらったりし、子どもにも分かりやすかったのでは。南極に行ってみたいと思った」と話していた。