アイヌ民族の生活文化継承に取り組む一般社団法人アイヌ力(ぢから)は19日、精神科医で、むかわ町国民健康保険穂別診療所副所長の香山リカ(本名・中塚尚子)さんの講演会を町中央公民館で開いた。町民ら約200人が、香山さんの地域医療や差別問題への思いに耳を傾けた。
白老アイヌ協会共催、町、町教育委員会後援。
香山さんはアイヌ文化学術研究会の会員。講演は、アイヌ力代表の宇梶静江さんと白老アイヌ協会の山丸和幸理事長が同研究会の花岡知之代表を通じて香山さんに打診し、実現した。
講演会は2部構成で、共に香山さんが登壇。第1部では地域医療をテーマに、東京や穂別町で出会った人々との交流で感じたことを紹介し、「地域医療の主役は住民。私たち(医療従事者)は後ろからついて行き、皆さんの生きやすさをサポートする黒子のような役割なんだと思う」と語った。
第2部では差別問題を取り上げ、「人種、民族、国籍、宗教、性別、性的指向など、個人では変更困難な属性に基づいて侮辱、扇動、脅迫などを行うこと」という差別の定義を踏まえ、「差別は私たちの問題。みんなで『しない・させない』気持ちを育んで進んでいきましょう」と訴えた。