先日、苫小牧市西部の海岸でアライグマの死骸にカラスなどが群がっている場面に遭遇した。それも2週続けて別の場所で同様の様子を見た。この時期、河口近くにサケが打ち上げられることはよくある。長途の旅から生まれた川に戻り、上流にたどり着いて次に生命をつなぐ産卵を終え、親魚は果てる。上流から流されてくる、ぼろ雑巾のような体のサケが、死んで河口近くの浅瀬や海岸に横たわっていると、すぐにカラスやカモメが食べるためにこぞって集まる。ところがこの時は予想だにしなかった動物だった。
アライグマは特定外来生物。道内全域で農業被害が深刻化し、捕獲数が増えている。野生化したアライグマを見たのはもう20年前だ。農家のビニールハウスに頻繁に忍び込んで収穫直前のメロンを食べあさり、捕獲されておりの中で激しく暴れていた。カメラを向けると猛り狂って荒ぶるうなり声を発し、威嚇された。
海岸に足を運ぶのは日常だが、アライグマのそれを見たのは初めて。先日は見事な体格のエゾシカがそこにりんと立っていた。彼らは既に街中でも居場所を確保済みだ。全国でクマが人を襲う事例が後を絶たない。異常な事態なのは間違いない。動物とのすみ分けの緩衝帯が機能を失ったか、段階が変わったか。(司)