白老手打ちそばの会(宮武美智子会長)の副会長、髙田豊司さん(73)=白老町日の出町=が、全麺協(東京)主催の「そば道段位認定制度」で同制度としては最高段位の5段に合格した。5段取得の道のりは、小論文に始まり、筆記、技能のほか、面接もある心技体全てが審査される超難関。認定者は今月17日までに道内から68人誕生しており、町民では髙田さんが初めてとなった。
髙田さんは10年ほど前の62歳で会社を定年退職。家族においしいものを食べさせたい―とそば作りを始めた。苫小牧市の手打ちそばの会に入って修業を重ね、4段位を取得した2018年11月、同じく白老町在住の宮武会長(71)ら8人と町内で初の手打ちそばの会を設立した。
5段位取得に向けては今年1月に準備を始めた。書面審査(小論文)は5月、仲間と共に立ち上げた会への思いや審査員として愛好家の技術向上に資する活動をしてきたことを原稿用紙3枚につづって通過。筆記試験は7月に十勝管内新得町で行われ、ソバの品種、栽培方法、栄養価から歴史、文化まで幅広く出題されたが、無事に合格した。
本審査は10月27~29日に同じく新得町で開催され、筆記に合格した112人が挑戦。技能審査では粗びきのそば粉を使い、1・2キロの十割そばを練って通過した。意見発表(面接)審査のスピーチでは「5段位を取得したあかつきには、誇りと使命感を持ち、リーダーシップを発揮したい」と審査員にアピール。この時、審査員に「(あなたにとって)リーダーシップの具体的な示し方とは」と問われ、「進んで後続に範を示し、上段位を目指す会員の力になりたい」と述べたという。
今年の5段位合格者は全国で69人。このうち道内在住者は最多の28人だった。髙田さんは合格について「正直なところ実感はまだない。ただ自分より年上の会員が初段位に挑戦されるなど、会全体に意欲がみなぎってきたと感じる。気が引き締まる思いだ」と静かに語る。宮武会長は「手打ちそばへの情熱は人一倍。何より人柄が素晴らしく、会員30人の信頼も厚い」とたたえた。
同会は来月に年越しそば教室、来年1月の冬休み中に親子向け手打ちそば体験を予定しており、日程を調整中だ。髙田さんの腕前に身近で触れる機会となり、「多くの方に手打ちそばの魅力が伝わればうれしい」と顔をほころばせる。