厚真町は、津波浸水区域になっている浜厚真地区に津波避難施設(津波避難タワー)を整備することなどを盛り込んだ町津波防災地域づくり推進計画の素案をまとめた。15日に厚南会館で開かれた、町内津波浸水区域の自治会や関係機関、大学教授らでつくる「厚真町津波防災地域づくり推進協議会」(定池祐季会長)の会合で示した。今年度中の策定を目指し、町民へのパブリックコメント(意見公募)などを実施する。
同計画は、東日本大震災の教訓を踏まえて最大級の津波に備え、ハード・ソフトの施策を地域の実情に応じて盛り込むもの。策定されれば、道内自治体では根室市に次ぐ2例目となる。
町によると、素案は浜厚真や鹿沼の地域住民、サーフィン愛好者との懇談会などで出された意見を反映させ、追記や修正を加えてまとめた。また、先進地視察を2カ所で実施。観光防災まちづくりの複合型津波避難施設を機能させる静岡県伊豆市土肥地区、厚真町と人口が同規模の愛知県飛鳥村で得られた情報を参考にした。
津波避難タワーは、来年度基本設計に着手し、2025年度以降の完成を想定した。施設は、津波浸水区域内で居住する住民や事業所に勤務する従業員、少年団、一般サーファー合わせて214人を収容できる2階または3階の建物をイメージ。平時は地域住民や海岸利用者の防災講習会などを行う集会所として利用することも考える。建設候補地には浜厚真生活会館の敷地内、または町有地で調整しているが、「海岸利用者の命を救うことも重要視する。住民の理解を得ながら検討を進めたい」との姿勢を示した。
施設の整備のほか、施設までの歩道や浜厚真海岸からの自転車避難ルート、高規格道路避難ポイントの追加など、ハード対策について明記。ソフト対策としては災害時の見回り・助け合い対応、学校やサーフィン利用者の防災訓練などを組み入れた。
この日の会合では、避難時の混雑を回避するための複数経路の整備や、高齢者しかいない地域への支援を求める意見が出され、町は年内に予定する防災会議までにさらに修正。12月下旬から1カ月ほどかけて意見公募を行い、来年2月開催予定の第4回協議会で成案化する考えだ。