将棋を覚えられなかった。駒の動かし方を学んでいる段階で、自分はトンボやドジョウ、カジカを追っている方がきっと楽しいと思ったのだ。師匠が兄という気軽さも原因だったのかもしれない。
将棋の藤井聡太名人がこのほど、小樽市で開かれた第36期竜王戦七番勝負で、竜王3連覇と八冠初防衛を果たした。スポーツ界では米大リーグの大谷翔平選手がふるさと日本の約2万の小学校に低学年用のグラブを3個ずつ寄贈すると発表して話題になった。「最近の若い者は」と話し始めるのがこの国の若くない者の決まり文句だが、若い棋士と投打二刀流の野球選手の活躍と研さん、発想の豊かさに、改めて大いに反省させられる。
この数年、多くの人の心配の一つは少子化といろいろな職域で見え始めた人手不足だ。その分、若者の学び方や仕事の仕方を従来よりこまごまと批評する大人が増えているかもしれない。遅い、少ないとの指図が面倒くさいに違いない。
前述の2人以外にも、黙々と頑張る若者が多いようだ。ガザでは病院が爆撃され裸で横たわる乳児も。高齢者や血まみれの子どもが泣き叫んでいる。残虐な戦争の拡大や継続に反対して立ち上がり堂々と主張する若者が各国で増えているとの報道も。大人は何をしている。(水)