アスリート、起業家、研究者など世界や各界で活躍するトップランナーに厚真町で触れる厚真未来カレッジ「アツカレ」(町教育委員会主催)が11日、同町内で初めて開かれた。元サッカー日本代表の那須大亮さん(42)とサステナブルファッションブランドディレクターの渡辺俊介さん(45)が講師となり、「NO TRY NO CHANGE~これまでとこれからの挑戦」をテーマに町民ら約40人に講演した。同日は厚真中央小学校でサッカー教室も開かれ、2人は東胆振1市3町の小中学生約30人と交流を深めた。
世界で活躍するトップランナーの生の声を、町民が聞く機会として企画された。
講演会は町総合福祉センターで開かれ、那須さんはこれまでの歩みなどを語った。中学時代の自身を「うまい人に常に負け、悔しさや『負けたくない』反骨心を持って練習していた」と回想。大学在学時に「プロになりたい」と当時のスカウトに直談判したことなどを明かした。また「(2004年)アテネ五輪で主将を務めた時に大きな挫折を味わった。重圧に耐え切れず楽しめなかったし、思うような結果も出せなかった。サッカー人生で初めて頭を抱えた」と振り返った。
ただ、「もがくことは前に進むこと。その後の飛躍にもつながった。メンタルが弱かったからこそ、(自身を)見詰め直し、向き合って一つ一つを乗り越えてきた」と語った。
来町する2日前までブラジルに滞在し、「日本人との考え方の違いを感じた。対比する必要はないが、学ぶべきことはある」と言い、子どもたちに「いろんな選手の言葉は参考にはなるけれど、最後は自分で決断して」と助言した。
渡辺さんもサッカーでプロになるために、高校卒業後、単身でドイツへ渡ったことや帰国後、国内でプレーしたことなどを説明。引退後、繊維会社を立ち上げ、オーガニックコットンを使った服作りに注力し、「今でこそSDGs(持続可能な開発目標)とか言われて注目されているが、当時は『ダサい』『使いにくい』とよく言われていた」と苦労話を語った。現在手掛けているリサイクルポリエステルについても述べた。
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サッカー教室は、対談に先立って開かれた。2人は基礎技術やサッカーに対する心構えをアドバイスしたほか、子どもたちとのミニゲームなどを楽しんだ。
苫小牧糸井小学校6年の松﨑鳶君(12)は「分かりやすくてプレーレベルが上がった感じがした。周りを見ることやシュートの質、コミュニケーション能力などを教わったので生かしたい」と目を輝かせた。
那須さんは「サッカーには勝ち負けがあるが、悔しい、うれしい、楽しいなどその時の気持ちを大事にして。勝てなかった時は人のせいにするのではなく、自分の何が足りなかったのか、これから何をできるかを考えることが成長につながる」とエールを送った。