今年のプロ野球は阪神とオリックスがリーグ優勝し、日本シリーズは59年ぶりの関西決戦となった。両チームを祝福するため23日に大阪、神戸両市で優勝パレードが行われるが、裏方を担う行政職員の間に「格差」があることが判明。兵庫県と神戸市は出勤扱いなのに、大阪府と大阪市は完全なボランティアで、大阪の職員組合関係者らから問題視する声が上がっている。
パレードは大阪市のメインストリート「御堂筋」と神戸市・三宮の中心部で開く。午前と午後で入れ替え、神戸側は最大約30万人、大阪側は昨年のオリックス優勝パレードの約30万人を上回る参加を見込む。専門業者が会場警備を、地元自治体の職員が観客誘導などを担う。
大阪府・市は「運営に公的資金を使えない以上(職員に)人件費を出すことが難しい」として職員ボランティアを約3000人募集。当日は実働7時間を見込むが、賃金や交通費、食事代も出ない。
兵庫県・神戸市は職員約1500人を休日出勤扱いで動員する。斎藤元彦知事は「(参加者の)安全確保という業務の性質上、公務扱いにする」と説明。勤務分は別日に代休消化するため、追加の人件費はかからない。交通費や食事代は出ないが、職員が万一事故に巻き込まれた場合は、補償の対象になる。
23日は勤労感謝の日で祝日。大阪の職員組合関係者は「必要な人員なら出勤扱いで動員すべきだ」と苦言を呈する。この労組は、38年ぶりの阪神日本一で興奮した観客による事故にも懸念を強め、専門スキルを持つ警備事業者の確保や待遇改善を吉村洋文府知事に申し入れた。
とはいえ、大阪側は過去3回の優勝パレードで有志職員が観客の誘導役を担ってきた経緯もある。吉村氏は6日、記者団に「参加は任意で、強制ではない」と強調。募集枠はほぼ埋まっているとして、問題ないとの認識を示した。