ジェネリック薬(後発薬)がないので、代わりの薬を処方します。医師からこう説明を受けた。その時にはとりわけ疑問も湧かずに理解した。国内で起きている薬不足の影響だとは分からなかった。
厚生労働省によると、せき止めやたんを取り除く薬などが非常に不足しているという。同省が各都道府県を通して医療機関や薬局に、薬の処方を最小限に抑えるよう要請したほどだ。
要因の一つにジェネリック薬品の不足がある。この薬の供給を巡っては、2年前から医薬品メーカーの相次ぐ不正が発覚し、製造や業務停止などの処分を受けている。これらの影響が尾を引いており、供給不足を引き起こしているという。
国は増え続ける医療費抑制の一環として、ジェネリック薬の利用を推進してきた。地方でも利用促進策が議会などでたびたび議論され、市民にもかなり浸透した。それが供給不足にぶつかるとは予想も付かなかったことだ。
体調が悪くなれば病院に行き、当たり前のように薬は処方されるものと考えていた。決められた薬を一回でも飲み忘れると心配になる。その薬も国が定める薬価の抑制や価格競争など構造的な問題が横たわる。安心して必要な量を受け取れる状態へ。解決してほしい課題だ。(昭)