56年前の1967年5月、支笏湖へ注ぐ最大河川「美笛川」の名称が法律上なくなりました。それまで、千歳川の始まりだった支笏湖と美笛川の合流点が8キロ上流にさかのぼってソウオン美笛川合流点までとされ、美笛川が千歳川に組み込まれたためです。
なぜ美笛川がなくなったのか?
現在の河川法(64年制定)は水系、水域を大きなくくりとして、国が直轄管理する「1級河川」、都道府県が管理する「2級河川」、1級・2級以外で市町村が法を準用して管理すべき川を「準用河川」。それ以外を市町村が管理を行う「普通河川」としています。
千歳川の場合、支笏湖を含む千歳川を石狩川水系1級河川に指定(65年)し、国道36号千歳橋から石狩川合流点までの下流が国管理区間、千歳橋から支笏湖美笛川合流点までの上流を北海道管理区間としました。
美笛川が千歳川に組み込まれたのは、この2年後です。その経緯ははっきりしませんが、美笛川はたびたび氾濫し、当時操業していた千歳鉱山が大きな被害を受けるなどしており、1級河川として同地区の治水対策を円滑に進めるためではないかと考えられています。
ところで、美笛川が千歳川になったことで、それまで源を支笏湖としていた千歳川の源がなくなり、新たな源が必要となりました。そのためか、時期は不明ですが、ソウオン美笛川合流点からフレ岳に向かって北に延びる無名川(通称・福神沢)を普通河川・千歳川とし、フレ岳を1級河川・千歳川の源としたのではないでしょうか。なお、美笛川はアイヌ語が語源で市民にも親しまれているだけに、千歳市では現在「通称・美笛川」という呼び方をしています。
(支笏湖ビジターセンター自然解説員 先田次雄)