環境省によると今年4―10月の全国のクマによる人身被害が180人に上り、過去最多になったという。従来の最多は2020年度の158人。23年度はまだ5カ月残っており冬眠はこれから。2日には渡島半島の大千軒岳(1072メートル)で性別不明の1遺体が発見されている。数字はまだまだ増える可能性がある。
人身事故の都道府県別の被害者数は最多が秋田県の61人。以下、岩手県42人、福島県13人と続く。以前にも書いたが、北海道に生息するのはヒグマ。東北以南はツキノワグマがすむ。ツキノワは成獣の雄で体重100キロ以下、雌50キロ前後。これに対してヒグマは雄200キロ、雌100キロ。時には400キロを超す巨大な雄もいる。植物食を中心にシカなどの肉も食べる食性は変わらない。母グマの子別れが、ヒグマ2・5年なのに対してツキノワは1・5年と早いのがやや目立つ相違点。自動ドアや倉庫に閉じ込められるうっかりはこれが原因なのだろうか。
本州のクマ騒動に呼応するように大千軒岳では10月末に登山者3人がヒグマに襲われ、2人が軽傷を負った。別に単独登山者とみられる1遺体も収容。きょう解剖が行われる。ヒトとクマの間に何が起きているのか。事故を無くすため、つらくても目をそむけてはならない。(水)