文化の日

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  • 2023年11月3日
文化の日

  北海道の文化向上に顕著な功績があったとして表彰される北海道文化賞に今年度、白老町のアイヌ民族文化伝承者で古布絵作家の宇梶静江さんら3人が選ばれた。功績とともに「今後の活動が期待される」として顕彰されるのが北海道文化奨励賞。今年度は札幌市の書道家、山田起雲さんら3人が受賞した。

   山田さんは数々の書道展で入賞を重ね、「書究文化書芸院」理事長として札幌市内の書道教室で指導に当たっている。実は4年ほど、その教室に通っていたことがある。教えは理論的、簡潔で分かりやすく、どこが駄目なのかが目に見えて理解できる。といっても腕前は全く上達せず、それでも教室に通うのが楽しかった。茶髪で気さくで、酒を飲み、歌を歌い、新年には頭に手拭いを巻き大鍋を作ってくれる。「起雲センセー」と気安く呼んでいたおこがましさを反省し、受賞をうれしく思う。

   山田さんは中国留学やベルギーの国立大学で教べんを執った経験もあり、実力に加えて国際的な視点を併せ持つ。政府は「文化の日」を「自由と平和を愛し、文化をすすめる」日と定める。パレスチナ自治区ガザ地区の惨状を目にするとき、文化の根源に平和がなくてはならないことを改めて思い知らされる。(吉)

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