当たり前に食べている毎日の給食。ぼくは、給食が大好きだ。特にカレーとラーメンが一番。好きなメニューの日は、学校に行くのも楽しみになる。だが、先日テレビで「給食の歴史」という特集をやっていたのを見た。そういえば、当たり前すぎて、おいしいとか苦手だなとか、おかわりばかりで、給食の歴史については全く知らないことに、はっとした。
給食は、1889(明治22)年、現在の山形県の鶴岡市で生活が苦しい家庭の子どもたちに無料で実施したことが始まりだそうだ。その時のメニューは、おにぎり、サケの焼き魚、菜のつけもの。今から134年前のことだ。今のメニューとは大ちがい。質素だ。それでも当時、昼ご飯を食べることができなかった子どもたちは喜んで食べたという。今のぼくたちなら、「温食がない」と文句が出そうだ。その後、30年がたって、やっとパン給食が開始されたが、牛乳はアメリカからもらった脱し粉乳という、牛乳からしぼう分を取って、かんそうさせた粉末を水で溶いて飲んだそうだ。でも、飲んだ人の感想を読むと、それはあまりおいしくなかったらしい。今のように、パンにも種類があって、めん類もある。そんなバラエティー豊かな給食になってきたのは、50年前くらいからだ。
今のぼくたちは、食品ロスの時代に生きている。食べられるものですら、捨てている時代だ。食料不足や栄養失調になることも、今のところない。勉強している間に給食が届き、4時間目が終わると当たり前においしい給食が食べられる。なんてぜいたくなんだろう。しかも、昔とちがって、栄養のバランスを栄養士の先生がきちんと考えたメニューで、給食センターの方々が心をこめて作ってくれている。メニューも年々近代的なものに進化し、和食だけでなく、洋食や中華も出る。うちでは出ない食材やこん立に出合うこともあるのだ。本当にありがたい。
先日、給食の先生との学習で、栄養素の勉強をした。血や肉、骨になる赤、熱や力になる黄色、体の調子を整える緑など三つの食品群に分かれることを知った。何気なく食べていた給食のメニューにも、実は三つの栄養素がかくれていて、ぼくたちは知らず知らずにバランスのよい給食をいただいている。実際にメニューを考えてみたが、全部の栄養素をバランスよく組み込むのは思いのほかむずかしく、ついつい自分の好きなものを組み合わせてしまいがちだ。これを毎日3食分も考えるなんて、大変だなと思った。
ぼくは、毎日当たり前に出てくる給食を、「今日は、おかわりするぞ」と考えながら食べるだけだった。しかし、給食の歴史があってこそ今の給食がある。ぼくたちのことを考えて作ってくれたメニューがあってこそおいしい給食が出来上がる。給食センターの方々あっての給食だ。マスクが自由になり、給食時間の笑顔も増えた。このときに感謝して、今日もおいしく、「いただきます」