躍動

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  • 2023年11月2日
躍動

  中央競馬は秋のG1シリーズが熱気を帯びている。秋華賞はリバティアイランドが史上7頭目の牝馬三冠を達成した。菊花賞は馬肥ゆる秋を地で行くようにドゥレッツァが破竹の5連勝で戴冠した。秋の天皇賞はイクイノックスが芝2000メートルの世界レコードで制した。

   いずれも生産は安平町のノーザンファーム。同牧場の出身馬が競馬界を席巻して久しいが、その勢いをまざまざと感じさせる取り組みを先日、ノーザンホースパークで取材した。2年目のミックスセール。主に同牧場の繁殖牝馬、当歳(0歳)馬計100頭余りを上場し、約22億7000万円の取引となった。

   もともとは繁殖牝馬の血統を入れ替えようと、2019年から自前で競りを行ったのが始まり。同牧場の吉田俊介副代表は「もっと馬を持てるのであれば、上場しなかっただろう馬もいる。おかしいかもしれないが、泣く泣く上場している」と舞台裏の一端を明かしてくれた。

   昨年はドゥレッツァの母馬も同セールで売却したが、「出身馬の活躍が宣伝になる」ときっぱり。同牧場は新しい血を次々と入れてさらなる高みを目指しつつ、他の生産者もノーザンに追い付け、追い越せと鍛錬する構図。セールゆかりの馬たちの躍動を見守りたい。(金)

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