環境省は1日、クマによってけがや死亡するなどの被害を受けた人数について、4月から10月末時点の速報値で180人に上ったと発表した。統計を開始した2006年度以降で見ると、今年度はまだ7カ月間の集計にもかかわらず、これまでで最多だった20年度の158人を上回った。クマの食料となるドングリが東北地方を中心に不作だとして、環境省はクマが冬眠するまで最大限の警戒を呼び掛けている。
被害を受けたうち死者は5人。月別の被害人数は8月に15人だったが、9月38人、10月71人と急増した。今年度の都道府県別の被害人数は秋田の61人が最多。岩手42人、福島13人と続き、東北地方を中心に被害が目立っている。人身被害の件数も164件で、これまでで最も多かった10年度の145件を上回った。
クマ被害が深刻化する中、環境省は1日から都道府県や市町村に対して、専門家を派遣して出没する要因の調査や対策に当たる緊急支援を行っている。