創意工夫ある地域づくり活動の優れた事例に贈られる国土交通省の2024年度「地域づくり表彰」で、厚真町の共助型困りごと解決サービス「ミーツ」(成田智哉代表)が最優秀賞に当たる国土交通大臣賞を受賞した。厚真町の企業や団体が同賞に選ばれるのは初めてで、道内では12例目。12月9日に東京で授賞式が行われる。
同社は2021年7月設立。実証実験を経て23年から本格的に事業をスタートさせた。地域で困っている人がユーザーとなり、買い物のサポートや庭の草刈り、雪かきなどについて電話やLINEで依頼。パートナーとして登録している地域住民が対応可能な依頼を引き受け、活動を行うと謝礼がもらえる仕組み。
料金の目安は1回1000~2000円程度で、会員は約180人(24年9月末時点)。パートナーは収入を得られるほか、さまざまなユーザーと出会えるメリットもある。
地域づくり表彰は1984年から始まり、今年は全国から45団体の推薦があった。有識者などで構成する審査会がミーツを含め9団体の表彰を決定。同社について「地域の困り事を可視化する取り組み。デジタルとリアルが融合した地域生活圏の実現に資する」と高く評価した。
同社の成田代表(36)は千歳市出身。大学卒業後、大手自動車メーカーでブラジルに勤務していた18年9月に胆振東部地震が発生。厚真町で震災に負けず作業に取り組む町職員やローカルベンチャーの関係者と出会い、同町での起業を決意した。
受賞について「泥臭いローカルDX(デジタルトランスフォーメーション)として取り組み、評価していただいた」と喜ぶ。さらに、データを自治体と連携させることで地域課題の解決が期待されており、「困り事をデジタル化することで、まちづくりにつながる。人とつながり、助け合うきっかけづくりは全国でもできるのではないか」と話した。
国土交通大臣賞は同社のほか、徳島県勝浦町の「さかもと元気ネットワーク」と鹿児島県薩摩川内市の「東シナ海の小さな島ブランド」が受賞した。