今季も厳しい釣況が続いている、苫小牧から白老にかけてのサケ釣り。景気のいい話が少ないまま、シーズンはついに最終盤。11月以降は寒気も入り、人気ポイントでさえ釣り人はまばらになっている。胆振太平洋の遅場として知られている安平川河口海岸は今季どうか、現地を訪ねた。
安平川河口は、9月末までサケ・マス採捕の河口規制で左右両岸1000メートルに釣り禁止エリアが設定されている。このエリアで川に遡上(そじょう)するサケは自然産卵の個体がほとんど。錦多峰川など人工ふ化で飼育した稚魚を放流し、沖の定置網漁の資源量を確保しているふ化事業のサケの回帰はおおむね8月から始まるが、自然産卵のサケが戻って来るのは10月から12月。このため同河口左岸側の砂浜がポイントとなる弁天地区は例年、規制解除後の10月から12月にかけてサケ狙いのさおが並ぶ。各地のピークを過ぎた頃に安平川河口海岸が釣期になる。
釣り場を訪ねたのは11月上旬の午後。釣り人は5組ほど。それでも朝は河口から300メートルの範囲でさおが並んでいたという。札幌近郊から訪れた釣り人に話を聞くと、「前週末に2匹上がったらしい。きのうはお隣さんが1匹釣ったと聞いた。だけどきょうは朝から誰も釣れていない」と教えてくれた。情報の交換が釣り場では欠かせないコミュニケーションだ。
弁天海岸は、もともと爆釣できる釣り場ではない。ただ、晩秋から初冬でも比較的コンディションのいい個体が上がるのが特長。ポイントによっては、海岸に立てたさおの魚信を確認できるほど近い所に車を止め、車内で冷たい季節風をしのぐこともできる。
マツカワ狙いと”二刀流”でさおを出していた地元の釣り人は「弁天は数釣りできる場所ではないが、それにしても今年はさっぱり。カレイも魚信がない」と嘆き節。ここでも薄い魚影に閉口気味だった。
一方、苫小牧西部から白老にかけての海岸は既にどこも釣り人はまばら。サケ・マス河口規制のエリアに近い釣り場や別々川付近でまれに釣れることはあるものの、人気ポイントはほぼシーズン終了の雰囲気だ。
今季のサケは釣れても魚体が意外に小ぶりだったり、痩せていたりすることも少なくない。釣り人たちの会話にも資源の減少や魚種の変化、気候変動や海の異変との関連を懸念する声が聞かれるようになっている。