地下鉄へ向かう道端でキバナコスモスが揺れている。木の葉が舞い散る音を添わせながら吹く秋の風を「秋声(しゅうせい)」と呼ぶそうだ。そんな風が札幌のビル街にも吹き始めた初秋。急転直下15日公示、27日投開票が内定した衆院選の前哨戦の取材に連日、追われている。
大通公園で行われた立憲民主党代表選の立会演説会。会場の物々しい警備には驚いた。3年前の地方遊説とは明らかに違うと感じた。新代表に就任した野田佳彦元首相の主張もじっくり聴いた。自民党派閥の裏金事件で与党が成立させた改正政治資金規正法を「天下のざる法。私は『天ざる』と呼んでいる」と語った。政治とカネの問題を争点に野党が連携し、自公の過半数割れを目指す構えだ。
乱戦となった自民党総裁選の道内党員票の開票も取材。道内では石破茂元幹事長がわずか12票差で高市早苗経済安保担当相に競り勝った。党本部の決選投票で石破氏が逆転で高市氏を制した瞬間は札幌の取材陣から、どよめきも起きた。結党以来の危機に「安倍政治の継承」ではなく「党内野党」を貫いてきた異端の政治家に振り子が振れた。秋の政治決戦は「石破・自民対野田・立憲」が激突する超短期決戦。共に党内屈指の論客。穏健な保守・中道票の争奪戦になる。(広)