議論

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  • 2024年9月30日
議論

  新しい自民党の総裁が誕生した。あす、臨時国会が召集され、首班指名を受けて内閣総理大臣に就く予定だ。9人も乱立した総裁選で、国民生活に関わる課題をはじめ、外交、防衛、経済など議論は尽くしたのか。そう思う人は少ないだろう。

   まして、裏金問題の政治とカネに関する議論はあいまいなままだ。世論調査を見ても、この問題に対して納得していない国民は半数を超える。石破茂新総裁は衆院選を10月15日公示、27日投開票の方針だが、短期間で議論を尽くせるのか。失った信頼を回復できるとは思えない。

   総裁選の議論はむしろ、それぞれの候補者が一方通行で政策を訴えてきたにすぎない。それも自民党員と党の国会議員に向けてのものだ。総選挙は今度は1億人の有権者の審判を仰ぐ。その有権者に多くの判断材料を与えるべきだ。国会での野党との討論に積極的に臨み、何を目指す政権なのかを明確にしてほしい。

   そこには裏金問題への説明責任も含まれるはずだ。新総裁は報道番組で党首討論にも意欲を示していた。野党党首との1対1の論戦は論点が分かりやすい。これまでよりもう少し時間を割いて、ぜひ実現してもらいたい。持論を理路整然と静かに語る新総裁に対峙(たいじ)する野党の真価も、そこでは問われる。(昭)

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