きな臭さ

  • ニュース, 夕刊時評
  • 2024年9月27日
きな臭さ

  日本を取り巻く安全保障環境が気になる。懸念する事態が相次いで起こった。

   一つ目は、中国が25日に大陸間弾道ミサイルの発射実験を行った(防衛省発表)ことだ。選挙による米国や日本の政治的な空白を意図したものか。中国の核戦力増強につながることを警戒する。

   二つ目は、海上自衛隊の護衛艦「さざなみ」が合同演習参加のため、25日に豪州などの艦艇と共に台湾海峡を初めて南下したことだ。欧米同様に国際水域であることを強調し、これまでより一歩踏み出し、「航行の自由」の権利を示す形となった。中国は反発している。

   三つ目は、ロシア機が23日、礼文島北方の領海上空を3度にわたって領空侵犯したことだ。緊急発進した自衛隊機が熱と光を放出するフレアを使って警告する異例の事態となった。ロシアの領空侵犯の目的は明らかになっていない。

   「戦争はそれ以前の事態にまったく関わりなく突如として勃発するわけではない」。1800年代初頭に軍事学者クラウゼヴィッツが記した「戦争論」の中の一節。戦争はそれ以前の過程や前段階に中止することができると説く。著書は現在も世界の軍事士官や研究者の参考書的な存在になっているという。軍靴の音が聞こえないか。言葉の意味は深い。(教)

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