米大リーグ、ドジャース大谷翔平選手の活躍には驚かされるばかり。想像を超えるプレーを見せてくれる中で、8月末オリオールズ戦での愛犬「デコピン」の始球式はほほ笑ましい光景だった。「デコピン」の名前もすっかり定着した感じだ。競走馬の名前もいろいろ。一定ルールの下、馬主の期待と愛情が込められ、時にはユーモアも交え名付けられている。
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9月11日、ホッカイドウ競馬(門別競馬場)で行われた2歳戦のJRA認定ウィナーズチャレンジ競走で、ナイスデスネ(牡)が1番人気に応え快勝した。多数の活躍馬を出している角川厩舎の所属で、7月にデビューしてから4戦2勝とした。同馬は熊本県で牧場経営するオーナーのもとで生まれ育った。命名はお笑いタレントの案によるという。番組ロケで牧場を訪れたタレントと一緒に考え、競馬好きなそのタレントが使うフレーズに決まった。
名前に注目して競馬を見ると、また違った楽しみが見えてくる。地方競馬では現在、オグリマックイーン、マルゼンスキーツーという馬が走っている。オーナーが名馬の血統を後世につないでいきたいとの思いで名付けている。
サラブレッドの馬名登録は、公益財団法人ジャパン・スタッドブック・インターナショナルが行う。「1字または10字以上の馬名」「奇きょうな馬名」はNGとされている。カタカナ最大9文字ということになるが、これは日本のみ。今年の中央G1安田記念では香港のロマンチックウォリアー(11文字)が優勝した。ほか、大まかに言えば、国内外で功績を残した著名馬、有名な種牡馬や種雌馬、中央競馬G1競走勝馬など数項目の禁止事項がある。また、世界標準ルールでの競技であるがゆえの取り決めもある。アルファベットのスペルが同じだと登録できない。例えば「chance」は英語ではチャンスだが、フランス語ではシャンスと発音する。カタカナ表記が異なるからOKとはならないわけだ。現在はカタカナ表記とアルファベット表記を同時に申請することになっている。
早口言葉のような、実況アナウンサー泣かせの馬名もある。でも、そこはプロ。かつて、モチという馬が逃げ切り勝ちした際、実況アナは「モチ粘っている」、オマワリサンという馬の時は「オマワリサンが逃げた」と、クスッと笑える実況だった。11日のレースのゴール前では「ナイスデスネ、ナイスデスネ、ゴールイン!」……、ナイスでした。
(フリーライター・大滝貴由樹)