夕日が美しいこの頃、ふと子供の頃の記憶がよみがえります。実家の周りには家がほとんどなく、帰り道にはいつも大きな夕日が見えました。特に覚えているのは、ある日の夕方、公園で遊んでいた私を母が迎えに来てくれたことです。遠くから笑顔で私の名前を呼ぶ姿が、今でも心に残っています。その光景は、夕日を見るたびに私を優しく包んでくれます。
今、母は認知症を患っています。散髪を出張美容師さんにお願いしたところ、いいご縁に恵まれました。母の髪を切ってくれた美容師さんは、認知症の方の髪を切るのは初めてだったそうなのですが、母に対してとても丁寧に、誠実に接してくださいました。母も警戒することなく笑顔で過ごし、最後には笑顔でお礼を言ったので、胸が熱くなりました。その日も、秋の空が美しい日でした。
自宅での介護が続き、外出が難しくなる中、髪を整えることを諦めかけていた時にこの出張サービスに出合えて、本当にありがたかったです。もっと広まってほしい素晴らしいサービスだと思います。
その後、私はその美容師さんの店に通い始め、「お母さんの髪質とそっくりですね」と言われました。母が昔「髪の量が多くてくせ毛なの」と話していたのを思い出し、改めて自分が母の子であることを実感しました。その瞬間、涙があふれそうになり、心に確かな幸せが広がりました。季節の移り変わる中、母との深いつながりを感じるふとした瞬間は、私にとって大切な宝物です。
(納棺師・苫小牧)