家庭の防災対策では、食品や生活用品など物資の備蓄に加え、子どもの精神面を考慮した準備も重要という。セーブ・ザ・チルドレン(東京都千代田区)で緊急支援と防災事業を担当する、防災士の山田心健さんにポイントを聞いた。
まずは物資の備蓄。自宅から速やかに避難できるように、非常用の持ち出し袋を用意しておく。日用品、衛生用品としては、水、食料、タオル、懐中電灯、電池、常備薬、ポリ袋、マスク、本(絵本)、カードゲーム、縫いぐるみなど。「避難先で子どもが気を紛らわせ、安心できる物を子どもと一緒に選んでおきます」
また、普段から子どもと共に次の3点についても準備しておこう。
一つ目は、非常食の試食。食べ慣れていない非常食が苦手な子は少なくない。「いろいろな商品を試し、子どもの好きな味を把握しておくとよいでしょう」
次に、避難所まで散歩してみる。複数の経路を歩き、子どもの足でも問題ないかを確認する。「災害時はガラスの破片やがれきなどで、普段より道が歩きにくいことが想定されるので、その点も考慮しましょう」
新聞紙や折り紙、裏紙を使って、スリッパ、コップなどの容器を作ってみるのもよい。日頃からいろいろな物を作ることで、身近なもので代用するすべを学べると同時に、災害時の生活をイメージできるという。
ただし、どんなに備えても災害は子どもの精神に影響を与える。在宅避難、避難所生活を問わず、日常とは違う環境に子どもは敏感に反応し、ストレスから言動が荒くなったり、親にべったりくっついて離れなくなったり、ということが起こり得る。
山田さんは「災害の影響を受けやすい子もいれば、そうでない子もいる。親ら大人は災害時、普段以上に子どもの様子を気に掛け、会話を大切にすることを覚えておいてほしい」と呼び掛ける。