備える

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  • 2024年9月23日
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  政権交代の記憶は、人によって濃淡さまざまだろう。第45回衆院選投開票日の2009年8月30日、民主党の候補者名が並ぶボードに、次々とバラの花を付ける鳩山由紀夫代表の満面の笑みを思い出す。獲得したのは308議席。鳩山代表は翌月、新首相に指名された。しかし、その後の失速は政権交代への懐疑の念を有権者に抱かせ、野田佳彦首相の際の12年衆院選で、同党は惨敗し、下野した。

   立憲民主党の代表選は、きょう投票が行われる。野田氏の姿から昔のイメージは拭えないし、前回総選挙の敗北の責任を取って辞任した枝野幸男氏が衆院選を経ないまま再び名乗りを上げるのも理論的にはおかしな気もするが、最終的には新代表を擁して戦う次の衆院選で有権者が判断することだ。

   鳩山氏は胆振、日高の北海道9区選出。同氏の引退後、代わって12年に当選した堀井学氏は公職選挙法と政治資金規正法違反罪で辞職し、自民党は後任選びの真っ最中だ。北海道で唯一、総理大臣を出したことがある選挙区ということに意味があるとは言わないが、あれから15年。改めて深く考え、責任ある選択をしたいと思う。27日の自民党総裁選の結果によっては、すぐにでも行われる衆院選。有権者も備えなければならない。(吉)

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