読まない

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  • 2024年9月21日
読まない

  活字や写真を「本」という形にまとめた文化や知恵の移動の形態は、どこまで変わって行くのだろう。数日前の新聞に2023年度に文化庁が行った「国語に関する世論調査」の結果が報道されていた。1カ月間に本を「1冊も読まない」人が、前回18年度の調査に比べて大幅に増え08年度にこの調査を始めて以来初めて62%を超えたという。驚かされた。

   調査は全国の16歳以上の男女6千人を対象に郵送で行った。回答したのは3559人。本には漫画や雑誌は含まない。1カ月に本を何冊ぐらい読むか―との問いに62・6%が「読まない」と回答。一方でインターネット上の情報などを読む機会は75・3%が「ほぼ毎日」と答えている。1カ月間に1冊以上本を読む人は36・9%で前回の調査より15・7ポイントも減った。69・1%の人が「読書量は以前よりも減っている」と答えている。その理由は「スマホなど情報機器の操作に時間が取られているから」が最多だった。

   読書量や書店の減少は大問題。この20年ほどで何が、どう変わったのかを考えてみたい。今、古い新潮文庫の「老後破産 長寿という悪夢」を読んでいる。かすんだ目で、前段の内容を確かめに何度も後戻りしながら、腹を立て涙を浮かべて読んでいる。本は教えてくれる。(水)

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