北海道の先住民族アイヌゆかりの昔話3話がアニメ化され、22日午前11時から30分間、BS―TBS「むかしばなしの部屋~伝えたい日本昔話」で全国放送される。アニメ化と放送は、白老ふるさと昔話制作事業実行委員会(高山長基実行委員長)が白老町制70周年記念として企画し、進めてきた事業。11月には町内の小学生以下を対象に上映会も開く。
3話は、白老ゆかりの医師、故高橋房次氏が生前、白老でアイヌ民族をルーツとする古老の口伝を聞き書きした「ふんべ山」、アイヌ文化研究者で先住民初の国会議員、故萱野茂氏が平取町に伝わる民話を書き起こした「きつねのチャランケ」、アイヌ三大歌人の一人で白老ゆかりの故森竹竹市氏の遺稿「ウェペケル」を原典とする「金の声 銀の声」。
アニメ化はTBS系(HBC)のアニメ番組「日本昔ばなし」の監督を務めた同協会所属の小林三男氏(78)=埼玉県日高市在住=などに委託して進め、白老アイヌ協会の岡田路明氏が監修して完成した。女優の夏木マリさん(72)が語りを務める。
全国放送後、10月中にアニメ作品をDVDに収録し、11月以降に町内の教育機関に贈る。同様に紙芝居も映像から制作し、幼児向け施設に贈呈する予定だ。
11月23日午後1時からは、招待制のふるさと昔話上映会を町若草町の民族共生象徴空間(ウポポイ)の体験交流ホールで開催。町内の小学生以下の子どもたち約300人に作品を楽しんでもらうという。
同実行委の会合が17日に町本町のしらおい創造空間「蔵」で開かれ、出席した関係者12人に事務局から報告された。高山実行委員長(40)は「幅広い年齢層にアニメを視聴いただき、アイヌ民族の歴史と文化に触れて次世代に広く語り継がれれば幸い」と話し、「(白老では)地域に根差した作品になれば」と期待した。