むかわ町特産のシシャモの不漁が続く中、えりも以西海域ししゃも漁業振興協議会は、今季のシシャモ漁を休漁する。漁業関係者で協議した結果、資源回復に向けた対応が必要と判断した。昨年に続く休漁に、同町では漁業や水産加工業、観光業などの分野に影響が及ぶことを懸念。竹中喜之町長は「(地域ブランドの)『鵡川ししゃも』を決して幻の魚にしない。対策に積極的に取り組む」と話す。
同会は鵡川漁業協同組合、苫小牧漁協、ひだか漁協による組織。休漁については3月から協議し、6月の臨時総会で決定。竹中町長が19日に開かれた町議会定例会で報告した。
鵡川漁協などによると、ここ数年記録的な不漁が続いていたことを踏まえ、同会は河川の遡上(そじょう)状況や昨年夏の海水温データなどを基に今年度の操業について協議。3漁協が足並みをそろえて休漁する。鵡川漁協は「シシャモは町魚であり、資源の回復が町全体の産業の活性化につながる」と理解を求める。
資源回復に向けて、町では2022年、産卵環境の拡充を目指して鵡川ししゃもふ化場(町洋光)を建設した。23年9月には鵡川ししゃも資源再生調査研究会を設立し、今年度は海水温のモニタリング調査を実施している。今後、シシャモを鵡川に戻す取り組みを展開するという。
2年連続の休漁に、「鵡川ししゃも」を加工販売するマルキタ食品(汐見)の佐藤和則代表(77)は「ずっと『鵡川ししゃも』を取り扱ってきた。シシャモに代わる海産物はなく、開店休業状態だ」と話す。「4年くらい不漁が続いていた。シシャモは海水温が低い時に取れるので、休漁しても資源は回復するのだろうか」と心配する。
むかわ町観光協会の荒舘康治事務局長(50)は「観光面への打撃は大きい」と受け止める。同協会は10月26日に2回目の「むかわ秋の味覚まつり」を開く予定で、「他の食の魅力を発信し、多くの人がむかわ町を訪れるようにしたい」と前を向いた。