魅力

  • ニュース, 夕刊時評
  • 2024年9月18日
魅力

  「良い町だったでしょう」。引っ越し荷物を積み、次の任地へ出発したトラックの運転手さんの言葉に驚いた記憶がある。「皆さん、おっしゃいますよ。この町には本当によくしてもらったって」。次の町はどんな町?。期待と不安に揺られた日々を思い出す。家族それぞれが時に涙もろくなるのは転勤族のさがか。

   わが家は日高管内、石狩管内南部の恵庭市、千歳市、胆振東部を転勤し、子どもの年齢も考えて苫小牧に落ち着いた。住んだ町だけでなく、近隣の町の動静も地名が聞こえるたび、知人の名前や顔、声とともに思い出す。千歳は、住んだのは短期間だが、苫小牧から10年ほど支社に通勤、大学設立や空港整備、工業団地分譲などの取材に追われて過ごした。

   その千歳市に昨年、次世代半導体製造の「ラピダス」進出が決まり工場建設や賃貸住宅の家賃、地価の動向が連日のように報道に取り上げられ落ち着かない。

   千歳で印象に残ることの一つは「このまちが好きだ」と自信を持って話す市民の多いことだ。住む町に愛着や誇りを持っている市民の多さは、その町の基礎的な力量を表しているかも知れない。訪れる新市民候補に「良い町ですよ」と、住む町を紹介する人の多いまち―。あの町の魅力は大きくなっているのか。(水)

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