北海道栄高校での保護者説明会後、学校法人京都育英館の松尾英孝理事長が同校移転に関する取材に応じた。一問一答の内容は次の通り。
―北洋大学の運営を決めた2017年の時点で高校移転の構想は出ていたが、今回大きく進んだ要因は。
「16年の高校の運営移管当初から耐震工事をやらなければいけないと聞いていた。前校長も白老町などに相談していたが、(支援などの)思うような答えが出なかった。改修も含め検討していたが、現校長や教員からも『移設したい』との声が出てきたので、この機会に実現しようとなった」
―白老町に残る可能性はあるのか。
「1%もない。仮に、町が校舎を全部建て替えて新築してくれるのならば考える。具体的な案があれば、そこまでの情熱をかけてくれるのであれば、こちらも考えなければ。ただ、それは不可能だと思う」
―保護者説明会ではどのような意見が出たか。
「『苫小牧までの交通機関はどうなるのか』『寮費の値上がりはあるか』などの質問があった。丁寧に説明をして、できる限り生徒や保護者の負担が少なくなるようにやっていきたい。きょうのところは反対の意見は出ていない」
―移転時期は明示したか。
「できれば25年9月に移転したいと説明した。夏の休暇中に備品等を移転したい」
―移設先の北洋大学の設備面は問題ないのか。
「北洋大学の旧短大棟で十分対応できる。改修した上で、職員室や事務室もすべて造れる。教室も現在より広くなる。大学は1000人入る想定で造っているので、過密にもならない」
―白老町内に残る施設はあるのか。
「部活動で大学内の施設で賄いきれない分は、こちらに来てやることもある。校舎もすぐにつぶすという話ではない。(白老)駅前スクールなどの施設は、別の学校にするなど何か案があれば活用したい」
―今後の高校の運営方針は。
「これから少子化は猛烈に進み、生徒は争奪戦になる。部活動の中でも良い部を全国大会を狙えるレベルに成長させたい。また進学コースを徹底して強化する。『特進コース』を来年4月に設け、良い国公立や有名私大に入れるようにしたい」
―高校移転による北洋大学側のメリットは。
「約400人が移転することで、大学や留学生別科も合わせて700人ほどになり、学校らしく活気が出てくる。大学も高校生を迎えるに当たって興味を持つような講座を設けたり、お互いが講座などを聞きに行ったりすることで刺激になる」