東京都世田谷区在住。スーパーは、生活クラブさんというお店の常連。生産者さんのお名前やメッセージを読みつつ買い物。お店の方にレシピを教わったりと、わが心の憩いのひととき。
きょうもスーパーの中をじっくりと見ながら回っていると「カボチャありますよ~カボチャどうですか~甘いですよ~北海道のくりゆたかですよ~」と聞こえてきた。もはや、この連載のおかげで、北海道という響きに敏感になっているわたし。おお、このカボチャは北海道からはるばる来たのか、と顔色は変えずに興奮気味。
中学3年生の娘と2人暮らしのわが家。娘は甘い野菜は苦手、というわけでカボチャを食べる人間はわたしだけ。それと、年齢もあるのか力が入らず、硬いカボチャを包丁で切るのは一苦労。ひーーと言いながら汗をかく。しばらくカボチャは小分けにカットした少量のものしか買っていなかった。
まるまる1個は敬遠気味だったカボチャ。しかし北海道と聞けば、食べたいが勝つ。だいたい本当は好物だし。なんとかなるさ。と、心の中で独り言をぶつぶつと言いながら、半分に切られたカボチャを手に取る。かわいい。なんてかわいい色合いとフォルムなんだろうか。それでいてズッシリ重たいところがまたかわいい。いざ買い物籠へ。
車にせっせと野菜たちを運び込み、なになに?北海道のくりゆたかとは、どこで作られているのだろうか、と運転席でスマホで調べてみると、「北海道富良野の大地で育ったかぼちゃ、くりゆたか。数あるかぼちゃの中でも希少な品種です。ホクホクの食感と強い甘みが特徴です。」と書いてある。もしかしたら富良野以外でも作られているのかもしれないが、カボチャというのは、北海道の生産が一番多いのだと知る。そうだったのか。
自宅に帰ると一番にカボチャを手に取り、10個ほどの小分けにカット。気合いを入れたからか、切りやすい品種なのか、比較的楽に完了。フライパンに並べ、わずかに水を張り、ふたをして、ほんの10分。水分は飛び、カボチャの黄色味が増して、ますますかわいくなっているではないか。
その中の四つを皿に乗せる。もう一皿には、生活クラブさんで焼いてもらったサンマ。横には大根おろし。みそ汁はシジミとモヤシとシメジとネギ。ひきわり納豆も冷蔵庫から出し、いただきます。もちろんカボチャから。驚!甘さが深い!最高なんですけど。その様子を見ていた娘が「ひとつちょうだい」と言ってきた。珍しいこともあるものだ。秋と北海道を感じる今夜の食卓。ごちそうさまでした。
(タレント)