音楽の力

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  • 2024年9月12日
音楽の力

  激しい揺れと津波で1万8000人を超える死者・行方不明者を出した2011年の東日本大震災。その惨状に日本全体が落ち込んでいた時、被災者らを元気づけたのはアーティストだった。音楽が被災者の心を癒やし励まし、勇気づけた。耳慣れた楽曲を聞き、共に口ずさみ、「前向きになれた」と語る人が多かった。

   被災地での「音楽の力」は、心に染みわたり、目を見張るものがあるが、一方で新聞のテレビ欄から一時、歌番組が次々に消えていった。視聴率を稼げないことが要因だが、低迷期を乗り越え、最近になって徐々に復活してきた。若者の短編動画配信で「昭和・平成」の楽曲が多く利用されたことが弾みになったようだ。歌とクイズ、バラエティーを組み合わせたり、若手アーティストが昭和歌謡を歌ったりして番組にも工夫が見られる。

   苫小牧港・西港で先日開かれた音楽を中心とする複合イベント「ミライフェスト」の入場者は延べ2万3000人を数え、前年を約4000人上回ったという。有名アーティストからお笑い、アイドル出演など幾多のジャンル展開が大好評。道内地方都市でも工夫次第で多くの集客が可能と分かった。次回はさらに内容を発展させ、本道や苫小牧市をより良い未来に導く原動力に、と期待する。(教)

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