デジタル技術による「拡張現実(AR)」を用いて、1人で運動している状態を複数人での運動のように変えることで、気分や幸福感を高め、抑うつ気分を低減させることが分かったと、群馬大などの研究グループが発表した。
研究グループは、健康な大学生14人に(1)運動なし(2)1人での低強度の自転車運動(3)AR内での低強度の自転車運動―の三つを体験してもらった。(3)は、被験者のアバター(分身)がタブレット画面に投影され、他の10人のアバターと一緒にAR内で自転車運動をする仕組みだった。(1)~(3)を10分間体験する前後に、幸福感を高めるとされる「オキシトシン」の唾液中の濃度と、気分の状態を評価した。
その結果、(2)ではオキシトシン濃度の増加傾向が見られ、(3)では、「抑うつ、落ち込み」の気分状態が低減し、オキシトシン濃度が顕著に増加した。研究グループは「AR内での運動は、孤独の解消に寄与する有効な運動様式であることが示された」としている。
(メディカルトリビューン=時事)