2018年9月の胆振東部地震で大きな被害を受けたむかわ、安平、厚真の3町。人口減少が年々進んでおり、減少幅の抑制に向けて、子育て支援や教育分野などの施策を積極的に展開している。転入が転出を上回る「社会増」につながったケースもあり、今年は1月から7月までに2町の人口が増加した。各町は今後も地域資源を生かして移住や関係人口の創出を促進し、人口維持に努める。
住民基本台帳に基づく人口(1月1日時点)は、地震発生前の18年が、むかわ町8378人、安平町8167人、厚真町4661人。地震後の19年は、むかわ町8126人(前年比252人減)、安平町7966人(同201人減)、厚真町4596人(同65人減)で急激に減少した。
その後も人口は減り続け、地震から6年を迎える今年は、むかわ町7323人、安平町7311人、厚真町4306人となったが、7月末には2町で人口が増えた。厚真町は1月比50人減の4256人だったが、むかわ町は同54人増の7377人、安平町は同27人増の7338人となった(7月末のデータは3町のホームページによる)。
むかわ町は、地方創生やまちなか再生を進める中、18~22年の合計特殊出生率は1・51と、道内平均(1・21)より高い水準となった。23年度には0~2歳児の保育料無償化や給食費の無償化、多機能型子育て支援施設の整備などに取り組み、子育て世帯の負担を減らしている。町総合政策課は「子育て環境を充実しても、(死亡者数が出生者数を上回る)自然減は大きい」と気を引き締め、「生産年齢人口の転入や関係人口、往来人口が増えるよう力を入れたい」とする。
安平町は、は日本一の公教育を目標に掲げ、19年からあびら教育プランを実施し、子どもに優しいまちづくり(CFCI)を実践。23年4月には小中一貫義務教育学校「早来学園」を開校し、これらの成果が表れ、22、23年に社会増を達成した。同町は「震災直後は200人が転出したが、その後は社会増が続いて人口減少が抑制されている状態。一喜一憂はしていない」と冷静に受け止めながらも、「教育施策の効果が出ている。今後は起業支援やデジタル人材の育成、さらにワーケーションの受け入れも進めたい」と意気込む。
一方、厚真町は18年まで、5年連続で社会増を達成していた。地震発生後に社会減となったが、子育て施策を充実し、21年と22年に社会増を実現した。子育て支援住宅の整備が一段落した23年は社会減となったが、町まちづくり推進課は「24年度には上厚真地区で子育て支援住宅を整備する」と説明する。地域おこし協力隊の制度の活用などで、若者が切れ間なく町を訪れており、同課は「町周辺の状況が変化する中、苫東地域の企業進出などにアンテナを高く張りたい」としている。