内閣官房アイヌ総合政策室は、各省庁の2025年度アイヌ政策関係予算の概算要求額を取りまとめた。総額は67億4100万円で、今年度当初予算比で16%増。白老町のアイヌ文化発信拠点・民族共生象徴空間(ウポポイ)関連では、施設の管理運営などで18%増の36億8700万円を盛った。
概算要求額は内閣府、国土交通省、文部科学省、厚生労働省など各省が25年度に計画するアイヌ関連事業の予算総額(端数は四捨五入)。今後、財務省と協議し固める。
公益財団法人アイヌ民族文化財団(札幌市)が運営するウポポイでは、国立アイヌ民族博物館や国立民族共生公園、慰霊施設の管理運営費として36億8100万円を計上。国内の大学などが研究目的で保管するアイヌ民族の遺骨返還に向けた手続きに関する支援事業として600万円を盛る。
19年5月施行のアイヌ施策推進法に基づくアイヌ政策推進交付金は17%増の23億4300万円。同交付金は、文化振興や福祉施策に加え、地域・産業・観光振興などを含め他市町村の取り組みを支援する制度。
アイヌの人々の生活向上事業も引き続き計画し、概算要求で今年度当初予算と同額の総額3億3700万円を計上。高校生や大学生への奨学金補助で5100万円、就職相談や生活館運営補助で9100万円、農林漁業振興(経営近代化施設の整備補助)で1億8100万円、民工芸品の展示会や研修会などの開催費補助で700万円などを組み込んだ。