厚真町教育委員会は1日、2018年9月6日に発生した胆振東部地震の被災地域を巡るツアー「自然災害の歴史と復興を巡る」を開いた。町内外から5人が参加し、吉野や富里、東和、幌里、桜丘の被災地域を回り、復旧が進んだ状況を確認した。
同町での自然災害の歴史や防災意識を高めてもらおうと、19年から継続している。参加者は乗用車2台に乗り込み、町職員2人の案内で現場を巡った。
胆振東部地震で19人が犠牲になった吉野地区では、黙とうをささげた後、町職員が地震の揺れが始まった直後に山腹崩壊が起きた状況を説明。1894年の私塾設置を伝える「教育発祥の地」と刻まれた石碑が揺れや土砂崩れに耐えたことや、サクラの植樹が進んでいることを伝えた。
富里地区では、2018年8月に供用を開始した富里浄水場が地震による裏山の土砂崩れで埋まり、断水が発生。廃止していた旧新町浄水場を再稼働させて同年10月10日に断水が解消したことを説明した。
幌里では、チケッペ川の砂防用堤防を見学。参加者は地震の影響で川の上流の重機が土砂で埋まり、流木が堆積した様子を見て驚きの声を上げた。町豊沢の無職、水野嘉美さん(83)は「移住1年目に地震があって町内を回る機会がなかったので、被害の大きさを(ようやく)知ることができた」と話す。
町教委は「被災した町民は過去の災害から学び、何かあったら助けを呼ぶ意識を持つことが必要。被災経験のない人は、被災者に寄り添う気持ちで接してほしい」としている。