アイヌ民族と和人の歴史を描いた映画「シサム」の9月13日の全国公開にちなみ、白老町若草町の民族共生象徴空間(ウポポイ)がエントランス棟で開いている公開記念展に27日、俳優三國連太郎の孫で主演俳優の寛一郎(かんいちろう)さん(28)が訪れた。会場を巡り、「もともとアイヌ文化に関心があり、この作品に関わることができたことは光栄」と作品愛を語った。
映画は、江戸時代前期にアイヌ民族と松前藩が対峙(たいじ)する中、寛一郎さん演じる若い藩士高坂孝二郎が民族の精神文化や風習に触れ、自分を見詰め直していく人間ドラマ。シサムはアイヌ語で「善き隣人」という意味。釧路管内白糠町を舞台に、昨年6月から同町などの協力で製作が進められていた。監督は中尾浩之氏。
公開記念展では、映画で使用されたアイヌ民族の衣装8点のほか、ガラスケースの中にマキリ(小刀)やニンカリ(耳輪)、台本や俳優らの寄せ書きなど約10点が並べられている。
寛一郎さんら一行は、札幌市で鈴木直道知事らを表敬してから白老入り。民族共生象徴空間運営本部の村木美幸本部長(64)らの案内で会場を見て回った。寛一郎さんは「日本とアイヌの文化を未来につなぐために作られた映画。作品を見てアイヌ文化への関心を深めた人がウポポイを訪ねてくれたらうれしいし、ウポポイに来た人が映画も見に来てくれたらうれしい」と話した。
記念展は9月23日まで。映画公開日以降、内容はさらに充実される。